2002-01-01から1年間の記事一覧

第四の手

ジョン・アーヴィング:著 小川高義:訳 新潮社 2002年7月発行 2200円 395P <あらすじ> 女にだらしないB級ネタ専門のTVリポーター、パトリックは取材中にライオンから腕を食い千切られ、それがTVで流されることによって有名人になってしまう。やがて…

『願望機』

著者 :アルカージイ&ボリス・ストルガツキイ 深見弾・訳 出版社:群像社 発行年:1989 価格 :1500円 ストルガツキイ兄弟の小説『路傍のピクニック』(邦題は『ストーカー』早川書房 1983)の第四章をもとにしたタルコフスキーの映画『ストーカー』(1979…

熊の場所

舞城王太郎:著 講談社 2002年10月発行 1600円 P205 「熊の場所」「バット男」「ピコーン!」の三篇を収めた短編集。 「熊の場所」では猫殺しを噂される同級生をめぐる少年の冒険を通じて恐怖に立ち向かうということが、「バット男」ではバットを持ってうろ…

『少年時代』

著者 :J.M.クッツェー くぼたのぞみ訳 出版社:みすず書房 発行年:1999 価格 :2600円 <あらすじ> ケープタウンの豪邸で暮らしていた10歳の主人公は、父親が政権交代に伴って公務員の職を失ったため、ヴースターという田舎町の団地へ転居する。 英語…

パークライフ

著者 :吉田修一 出版社:文藝春秋 発行年:2002年 価格 :1300円 <あらすじ> 「私」は地下鉄の中で、つい知り合いのいない背後に話し掛けてしまうが、その言葉に一人の女性が返事をして彼の恥ずかしさを救う。その後、彼は日頃「なにもしない」時間を過ご…

さかしま

J.K.ユイスマンス:著 澁澤龍彦:訳 河出文庫 2002年7月発行 1100円 <あらすじ> 特記するほどのあらすじはなし(笑 あらゆる快楽を享受した後に、あらゆるものに倦んでしまい、田舎の館に引篭もり己の認める芸術のみに囲まれて暮らす貴族の末裔デ・ゼッサ…

『マーティン・ドレスラーの夢』

著者 :スティーブン・ミルハウザー 柴田元幸・訳 出版社:白水社 発行年:2002年7月 <あらすじ> 19世紀の半ば、葉巻屋の息子マーティンはホテルマンとして出世していき、やがては自らもホテルのオーナーとなる。彼は内なる欲求に従い、より大きなホテルの…

『恥辱』

著者 :J.M.クッツェー 鴻巣友季子・訳 出版社:早川書房 発行年:2000年11月 <あらすじ> ケープタウンの大学で英文学の教授をしている主人公は初老を迎えつつあっても性的なものに執着することをやめられない。彼はある女生徒に目をつけ関係を結ぶが、予…

『半所有者』

著者 :河野多恵子 出版社:新潮社 発行年:2001年11月 その内容よりも44ページで1000円というコストパフォーマンスの悪さによって注目を浴びた問題作(爆)。あらすじといっても、「妻に先立たれた初老の夫が、妻の死体と性交する」というだけですべて表さ…

『e.』

著者 :マット・ボーモント 部谷真奈実・訳 出版社:小学館 発行年:2002年2月 会社内で遣り取りされる「Eメールの文面のみ」によって描かれた広告代理店の日常。ことごとく頭のよろしくない登場人物たちが大企業のコンペを巡って右往左往する様が描かれて…

『死ぬほどいい女』

著者 :ジム・トンプスン 三川基好・訳 出版社:扶桑社 発行年:2002年3月 <あらすじ> 訪問販売人フランク・ディロンは、代金を踏み倒した客についての聞き込みをしに寄った家で老婆に買春を強要されている少女モナに出会い心惹かれる。彼はモナを救い出す…

『月』

著者 :アマール・アブダルハミード 日向るみ子・訳 出版社:アーティストハウス 発行年:2002 イスラムの因習に縛られ閉塞したシリアの社会を舞台に、性的抑圧に苦しむ男女の姿を描く。 主人公は極端に嗅覚が発達した青年、彼は聖職者である父に結婚を命じ…

ニッポニアニッポン

阿部和重:著 新潮社 2001年発行 <あらすじ> 中学時代の同級生にストーカー行為を働いたことにより、実家を追われ東京のアパートに一人暮らししている18歳の少年。部屋にこもり日の多くをネットに費やす彼は、次第に「佐渡島のトキを殺して人間の書いたシ…

シルエット

島本理生:著 新潮社 2001年発行 (現在ハードカバー版は絶版。右は文庫版) <あらすじ> 高校2年の「わたし」は、以前同級生の「冠くん」と付き合っていた。彼は、父親に刺されて寝たきりとなった母親と二人暮しをしていたのだが、家庭崩壊の原因となった…