『願望機』

願望機
著者 :アルカージイ&ボリス・ストルガツキイ 深見弾・訳
出版社:群像社
発行年:1989
価格 :1500円


 ストルガツキイ兄弟の小説『路傍のピクニック』(邦題は『ストーカー』早川書房 1983)の第四章をもとにしたタルコフスキーの映画『ストーカー』(1979)の原作者自身によるシナリオ・・・なのであるが、実際にはタルコフスキーはシナリオの大半を変更してしまい、原作者のものとは全くの別物となってしまっている。

<あらすじ>
「ストーカー」と呼ばれる男は「学者」と「小説家」の二人に雇われて、彼らをゾーンと呼ばれる封鎖地域へとガイドする。そこには人の願望をかなえてくれる超文明の異物があり、彼らは次々に奇現象の起こる土地を抜けてその場所を目指す。だが、その遺物はただ単に望みを叶えるというわけではなく、人の潜在意識の最下層にある願望を叶えるのだった・・・。


 自分がどんな人間であるかを見せつけられることへの怖れ、をテーマとする会話劇。台詞を中心として進行する映画的というよりは演劇的なシナリオであるので、タルコフスキーはその辺りが気に食わなかったような気がする。

「願望機」のほか、「スプーン五杯の霊薬」を収録。