2005-02-01から1ヶ月間の記事一覧

『落窪物語』

『落窪物語』とは、通俗小説の偉大なる古典である。 小島政次郎が述べたように、下級の女房の欲望に応える「大衆小説」なのであり、その通俗性のパターンをより過剰な通俗性をもって裏切るところに『落窪物語』の小説としての巧みさはある。 はっきりいって…

『火の記憶 (1) 誕生』

著者名:エドゥアルド・ガレアーノ 飯島みどり・訳 出版社:みすず書房 発行年:2000年 先日は北朝鮮戦が大変盛り上がりましたね。 ということで、スタジアムの神と悪魔―サッカー外伝でもどうでしょうか?そして、その著者であるガレアーノが描くラテンアメ…

『あなたの人生の物語』

著者 :テッド・チャン 朝倉久志・訳 出版社:早川書房 発行年:2003 価格 :987円表題作を含む八編を納めた短編集。 多少難解で読みづらいところはあるものの、いづれもSF的な想像力に満ちた傑作である。 物語的なエンジンは弱く登場人物の魅力にも欠ける…