『火の記憶 (1) 誕生』

火の記憶〈1〉誕生
著者名:エドゥアルド・ガレアーノ 飯島みどり・訳
出版社:みすず書房
発行年:2000年


先日は北朝鮮戦が大変盛り上がりましたね。
ということで、スタジアムの神と悪魔―サッカー外伝でもどうでしょうか?

そして、その著者であるガレアーノが描くラテンアメリカの一大叙事詩がコレ、 『火の記憶』であります。


あらすじは書けない。なぜならば、この本において歴史はそれぞれ関連性の無い断片として語られる。それは歴史の様々な局面における挿話であり、多くは歴史の本筋から外れた取るに足らない物語。だが、それら物語の断片は総和として歴史を描き出している。一人の陵辱された女、ラテンアメリカという女の歴史を。白人にその土地から追い立てられ鉱山での苛酷な労働を強いられるインディオたちは、彼らの名前や語る神話すら奪われる。商品として船倉に詰め込まれアフリカから送り込まれる黒人奴隷たちの、百年にわたる叛乱すら一つの死により歴史から失われる。この本の語る物語、虐げられた女の物語は、眼前の現実につながっている。我々は敗者の歴史に余りにも無知である。

はっきりいって非常にお薦めです。自身の創作の上でも多くの影響を受けました。しかし、これがまた非常に読みにくい本で、500頁という分量以上に骨が折れました。ストーリーがある本であれば筋の勢いに任せて読むことが出来ますが、なにぶん筋が無いですから(笑
その上、創世神話から17世紀までを描くこの本はまだ第一部で、あと二冊続きがあったりするのです。とはいえ、これを読んだのは四年も前のことなのに、未だに二巻が出ません。いったいどういうことなのでしょうか(笑