2005-05-01から1ヶ月間の記事一覧

『私が語りはじめた彼は』

著者:三浦しをん 激しい感情は書物と同じだ。どれだけ厚くても、いつか終わりがやってくる。僕はもう、激しさをすべて使いきってしまったから、はじまりも終わりもなく続いていくだけなのだ。 (「冷血」より) 「結晶」「残骸」「予言」「水葬」「冷血」「…

「「カッコいい」のある風景─民俗学とその周辺にとっての’80年代─」

いまや「暴力でぶ」という二つ名で知られる大月隆寛であるが、かつては気鋭の民俗学者であった(という言い方は失礼ですね。今でも民俗学者です。「民俗学」なるものが今も存在しているのであれば)。そしてその同時期、大塚英志もまた民俗学的な用語をちりば…

『オウバアキル』

そして先人に倣って自らも「呪われた詩人」になることを夢見る。しかし、差し当たってリセに通う平々凡々たる生徒に過ぎない私は、呪いなどとは全く無縁で、常日頃、救いようのない自分の凡庸さを意識すると同時に、不満を漏らす権利は自分にはないのだとも…