その他

『靖国問題』

著者:高橋哲哉 帯には「哲学で斬る「靖国」」とあるが、どこが「哲学」やねんw 手法としてはむしろ「言説史」的といえるのでは。 以下、本書のまとめに私の意見を付記する。 1・感情の問題 靖国のシステムの本質が、国家が国民の生と死に対し最終的な意味…

「「カッコいい」のある風景─民俗学とその周辺にとっての’80年代─」

いまや「暴力でぶ」という二つ名で知られる大月隆寛であるが、かつては気鋭の民俗学者であった(という言い方は失礼ですね。今でも民俗学者です。「民俗学」なるものが今も存在しているのであれば)。そしてその同時期、大塚英志もまた民俗学的な用語をちりば…

『感じない男』

森岡正博 ちくま新書 2005年2月 「性犯罪を犯さないがロリコンの嗜好を持つ男」*1という今まで語られることの少なかった「ロリコンの中心層」を正面から描いた点で希有な一作である。今までの「ロリコン=性犯罪者」「=大人の女に相手されない男、大人…

『<戦争責任>とは何か―清算されなかったドイツの過去』

4月14日、町村外務大臣は、参院外交防衛委員会で、韓国のノ・ムヒョン大統領が日本とドイツを比べて、日本の歴史認識を批判していることに対し「単純にドイツと比較というのはいかがなものか」と反論した。 外相は「ドイツはユダヤ民族を抹殺するという大…

<癒し>のナショナリズム -草の根保守運動の実証研究

著者 :小熊英二・上野陽子 発行年:2003年 出版社:慶応義塾大学出版会 価格 :2400円 上野による「つくる会」系の民間団体に対する調査と、それについての小熊の解説からなる。基本的に上野の調査は「卒業論文」であるので、まあその程度のものです(笑 で…

聖母のいない国

著者 :小谷野敦 発行年:2002年 出版社:青土社 価格 :1900円 アメリカ小説を読み解く13の論考を収める評論集。 初出は『ユリイカ』誌上において2001年一年間にわたった連載。 『風とともに去りぬ』が大衆小説と見なされる理由から始まり、「赤毛のアン」…