阿修羅ガール

阿修羅ガール 
著者名:舞城王太郎
発行年:2003年
出版社:新潮社 
価格 :1400円


<あらすじ>
好きでもない男とホテルに行ったアイコは、顔射されかかってキレ、男を蹴り上げて家に帰る。翌日友人たちに理由も分からずシメられかかったアイコは逆にそのリーダー格の女をボコボコにし、前日ホテルに残した男が誘拐され家に切り取られた指が送られてきたということを知る。一方、数ヶ月前同じ街では「三つ子バラバラ事件」が起きており、ネット上ではその犯人を中学生だと見なして「厨房狩り」が煽られていた・・・。

というか、あんまりあらすじは関係ないです(笑
物語はほとんど投げ出されたまま、何も解決しません。
ミステリーとして小説が語れるのかと思いきや、実は「女子高生の思弁小説」です。主人公の女子高生アイコが自らの言語の範囲内において愛や憎しみや人生について考える、というと真正直で臭いんだが舞城の勢いのある文体(前半の主人公の語りは恐らくはジュニアノベルの文体の延長上にある。自分で自分に突っ込む語り口とか)で描かれることによりその臭さは隠蔽されている。ところが、終盤に至って主人公が冷静になると途端に臭さが吹き出してしまう。それが、この小説の最大の欠点だろう。

むしろ、注目すべきは家庭内暴力をふるう男の独白の描写。これは凄い、一読の価値はある。ネット上で吐き出される悪意と妄想をそのまま文体化したような表現である。といっても、ネット上にはこの手の表現いくらでも転がっているんですが(笑 いや、それを意図的に表現しているから凄いのであって。。。

ストーリー展開はご都合主義の連発だが、もはや舞城作品に対してそういう批判をしても仕様がない。確信犯なんだから(笑