『e.』

e
著者 :マット・ボーモント 部谷真奈実・訳
出版社:小学館
発行年:2002年2月



会社内で遣り取りされる「Eメールの文面のみ」によって描かれた広告代理店の日常。ことごとく頭のよろしくない登場人物たちが大企業のコンペを巡って右往左往する様が描かれている。上滑りなところもあるが、そこそこ上質のドタバタである(といっても、アマゾンに投稿されているレヴューのように、手放しで絶賛できるほどの小説ではない。まあ面白いけどね)。
この手のアイデア一発勝負の小説は、誰でも思いつきはするものの実際に書くとなると非常に難しいものである。その点この小説は、Eメールの送信された時刻やCCとBCCの区別にも細心の注意が払われているなど、作家の技術の高さが反映されたものとなっている。