『半所有者』

半所有者
著者 :河野多恵子
出版社:新潮社
発行年:2001年11月



 その内容よりも44ページで1000円というコストパフォーマンスの悪さによって注目を浴びた問題作(爆)。あらすじといっても、「妻に先立たれた初老の夫が、妻の死体と性交する」というだけですべて表されてしまう。
 なにやら一部(福○和○方面)でタブーに挑むだとか絶賛されたけれど、屍姦なんて表現においてはもはやタブーでもなんでもない。そう思ってるのは、純文学サークル内で朽ちるのを待っているだけの、それこそ死体のような人たちだけだ。
 夫の心の動きを描く筆致には熟練の技を感じるものの、ほんとうにいまさら感の強い小説。死体(とそれを通じて人格的なもの)を所有する欲望は描かれていても、腐りゆく死体への嫌悪などには全く触れられていないし、その厚さ以上に内容の薄さを感じさせられる。
 断言しよう。この小説は駄作である。