自殺サークル

自殺サークル 完全版
著者 :園子温
出版社:河出書房新社
発行年:2002年
価格 :1000円


<あらすじ>
上野駅での女子高生54人の集団自殺。その少し前、愛知県の片田舎での退屈な日常から抜け出そうと家出した女子高生「さやか」はネット上で知り合った女性「クミコ」と出会いレンタル家族の仕事を始める。そして「さやか」の妹「ゆか」もまた姿を消し・・・


話題になった映画の監督自身によるノベライズ(か?)。
一読した印象は「若い人の書いた小説だねえ」といったもの。
日常での「役割演技」と、捕食・被捕食もしくは勝者・敗者という意味での「役割分担」を意図的に混同させているところなどは、むしろ「ずるい」とさえ感じる。
何が「ライオンだけの世界はありえない。世界には兎だって必要」だよ。何が「誰もが引き受けたがらない<グラスから溢れる水>という役割は、誰かが担わなければならない」だよ。
傷に意味なんてないのに、世界は(弱肉強食よりも)もっと実も蓋もないのに。弱者である自分を肯定して、弱者であることに意味を持たせようとしているんだろうけれど。やはり、それはひ弱な思想だと思う。無意味に耐えるのに意味を持ってしてはいけない。
そうそう、兎はけっしてライオンに食われる自分なんて肯定しないと思うよ。

ちなみに「自殺サークル」というタイトルながら自殺は冒頭以外には殆どでてきません。むしろ「自殺」という言葉は「過去の自分自身の否定」という意味で使われています。