閉ざされた城の中で語る英吉利人

閉ざされた城の中で語る英吉利人 (中公文庫)
著者 :ピエール・モリオン 生田耕作・訳
発行年:2003年
出版社:中公文庫 
価格 :533円


先日、栃木かどこかの男が小学生少女を殺して逮捕されたそうです。
まあ、その事件そのものは「かわいそうに」と無責任な感想を抱いて終わる程度のものなのですが、犯人の部屋から大量の少女ポルノやら何やらが押収されたとの報道に、ああまた相変わらずの切り口だなと思ったわけなのです。
これでまた、どこかの馬鹿な政治家なんかが「少女ポルノをさらに規制すべきだ」なぞと言い出すんだろうな、などとね。
別に少女ポルノ自体が規制されようがどうなろうが私としてはどうでもいいわけなのですが、「ペドフェリアはキモイ」という<良識>やら「悪書が犯罪を誘発する」的な紋切型やらには辟易してしまうのです。
これが、犯罪者の部屋から見付かったのがヘンリー・ミラーやらフォークナーやらだったら、悪書だから絶版にしましょうか?(笑
サドだったらあからさまにアレですが(爆


というわけで本題、ピエール・モリオンの『閉ざされた城の中で語る英吉利人』。
ピエール・モリオンというのはマンディアルグの変名なわけで、この小説も文章と舞台装置は絶品であります。引き潮のときにしかそこへ行くことの出来ない海辺の城というだけでもまるで古典ミステリでも始まるかのような設定。そこで繰り広げられる血まみれの性交。それこそサドへのオマージュとでもいうかのような。つーか、その程度に凡庸というわけなのですが(笑
蛸の這う水槽の中で蛸を食い千切りつつの処女陵辱には「春画かよ」って突っ込みたくなるし。
結局、「エロスは黒い神だ」ということがメインテーマみたいなんですが、そういう凡庸さに目を瞑れば、チンコが立派に起っ勃つぐらいの魅力的な小説であります。まあ、エロスというのは結構保守的なわけで、陵辱とか暴力とかがそそるのは割合誰でもが共有する傾向であって、だからこそ「良識人」はそれを規制しようとするんですが。
まあ、『眼球譚』ではチンコたたないですが(笑